冬の田舎は、普段は静かだ。
朝は鳥の声が薄く聞こえて、
昼は風の音が大きいだけ。
人より自然のほうが存在感がある。
だけど、この時期になると、
田舎は少しだけ賑やかになる。
◆成人式の日。田舎の時間が少し動く
成人の日が近づくと、
町の美容院に明かりが早く灯る。
家の前には晴れ着姿の子が並んで写真を撮る声。
普段は誰も歩かない道路に
スーツの若者が歩いていたりする。
都会みたいに派手さはないけれど、
ここはここでちゃんとお祝いしている。
それを見るたびに、
「ああ、この土地にもちゃんと未来が続いているんだな」と思う。
◆田舎には、行事で時間が巡る感覚がある
盆、正月、祭り、成人式。
イベントそのものが派手なわけじゃない。
でも、季節ごとに
人が帰ってきたり、笑顔が増えたりする。
暮らしていると見えないけれど、
外から帰ってきた人は「懐かしい」と言い、
残っている人は「久しぶり」と笑う。
この循環にいると、
田舎っていいなと思う。
◆若い頃は退屈だった場所が、今は居心地がいい
10代の頃は、
暇で、何もなくて、
「都会に行きたい」と思っていた。
でも40代、50代になってみると、
不便さも味になる。
店は少ない。
夜は暗い。
イベントも大きくない。
でも、この静けさとほどよい人の距離が、
今の自分にはちょうどいい。
曇り空の下でも、
田舎の冬はどこか暖かい。
◆おかえり、そして、いってらっしゃい
成人式の日は、
この町の子どもたちが
ひとつ戻ってきて、
またそれぞれの場所へ旅立つ日。
大人になっていく背中を見ながら、
自分の若い頃を思い出す。
そして小さく心の中で言う。
「おかえり。そして、いってらっしゃい。」
◆まとめ
田舎の暮らしは、派手じゃない。
だけど、季節ごとにちゃんと人の気持ちが動いている。
この土地で暮らしていると、
時間の流れがゆっくりめに感じるけれど、
ちゃんと前に進んでいる。
今年もまた、静かでやさしい冬だ。


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